GOLD BOY〜不良彼氏〜
『あいつから電話きたと思ったら"美鈴やべぇから今すぐデビルんとこ来い"だけだぞ?マジ酷いよな」
慎悟くんは倉庫に行く前にそう言って、私の頭をくしゃっと撫でて倉庫に向かった。
本当は、葵も慎悟くんも倉庫には来てほしくなかった。
確かに助けに来てほしかったし、来てくれるか分かんなかったから、来てくれた時は凄く嬉しかった。
でも倉庫に来たということは、康介さんとデビルの奴らと喧嘩をする覚悟があるってこと。
ってことは、今、葵と慎悟くんは喧嘩してるかもしれないってことで――…
「美鈴!」
葵と慎悟くんに何もないことを祈ってた私に聞こえたのは、菊哉の叫ぶ声だった。
………菊哉?
何で菊哉がここに?
バイクの上に座って、たぶんマヌケな顔をしてると思われる私に走って近づいてきた菊哉。
「あ、葵は?!」
「…は?つか、何で菊哉がここにいんのよ」
「あ?そんなの葵に呼び出されたからに決まってんだろ?つか、葵どこにいんだよ」
「しかも、何で歩きなの?バイクどうしたの?」
菊哉がハァハァって荒い息たててて気味悪いから、菊哉の質問はいっさい無視してやった。
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