GOLD BOY〜不良彼氏〜
さっきまで起き上がれないほど痛そうな顔してたのに、平然な顔して1人で一番後ろで座ってた。
「………お前、起きれ上がれねぇんじゃねぇのかよ」
慎悟くんは振り向いて葵にそう言って、葵のおでこを人差し指で押した。
その力で押された葵は背中を軽く背もたれにぶつけて、どうやら背中は痛いらしく苦い顔をした。
「起き上がれなかったんじゃなくて、起き上がるのがダルかったんだよ。背中痛くて」
慎悟くんはため息をついて、葵に向かって『煙草』と言うと、
葵のポケットからくしゃくしゃになった煙草が出てきた。
エンジン止まってて窓を閉められてる密室状態の車の中で、慎悟くんと葵が2人して煙草吸い始めた。
だからすぐに車内には煙草の煙が充満して、私の鼻からもその煙が入って私は咽せた。
『ゴホッ、ゴホッ』と私が咽せたのと同時に、運転席のドアが開いて大和さんが入ってきた。
大和さんもさすがに、この充満してる煙に気づいたようで、手で仰ぎながら運転席に座った。
エンジンをかけて全ての窓を開けてくれた大和さんが、そのとき私には神様に見えた。
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