GOLD BOY〜不良彼氏〜



そのあとの天沢先生の話には“退学”という単語は無くて、私には一切お説教をしなかった。



てっきり菊哉の話からして天沢先生に『退学だ』って、はっきり言われると思ってた。



それなのに私たち3人は、最後に天沢先生に『ケンカもほどほどにしろよ』って言われて、会議室を後にした。




「隠せって言ったじゃねぇかよ」

「俺のせいじゃねぇよ。誰かさんが大声で叫ぶからだーしー」

「誰か?誰かって誰?」




お説教されることなく会議室を出た時には昼休みが終ってて、次の授業が始まる予鈴が鳴った。



廊下を歩いてるのは私たちだけで、他の人たちはみんな教室に入って授業の準備をしてるらしい。



前を歩く菊哉と葵は、まだ私を逃がせなかったことについて話している。



「んなの、こいつしかいねぇだろうが。なぁ?美鈴?」


「え?何?」



突然話を振られてビックリしていると、振り返る菊哉の隣で、葵も振り返った。



「………」



え?私?

逃げなきゃなんないのに大声出したバカなやつって………って思いっきり私じゃないか!



「誰かって……美鈴なの?」


「はは……はは……ははは……」



どうしよう!!

立場がない!!



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