消しゴムのおまじない
あかり
「あかりー!!! おはよー。」
「おはよー、あきら。」
中学校へ進んで、同じクラスになり違う小学校の子と出会いまるでずーっと友達だったみたいに仲良くなった。それが私、あきらと彼女、あかりだった。

「昨日のドラマみたー??」
「まだ、見てないから絶対言わないで‼」
他愛ない会話をしながら一日が始まる。

あかりは名前の通りに明るく肩までの髪を2つに結わえて二重の黒目が大きな愛らしい目を細めて良く笑う人気者の女子だ。

そんなあかりの事を好きな男子が結構いて、私はよく恋のお悩み相談を受ける。
あかりは特に好きな男子がいないと言って彼らを相手にしないのだ。

ちょっともったいない。
今だって、あかりを見つめている男子がクラスに1人いる。私が見つめられている訳ではないのにドキドキする。

「おーい、あきら。」
「あ、かいと。おはよー。」
「かいとくん。おはよ。」
「あー、おはよ。」

「コンパスと分度器貸してくれー。」
「忘れたの?先生、忘れるとうるさいのに。」
「机に出しておいたのに、カバンに入れるの忘れたの。」
「あー、私も分度器ない❗」
「えー‼あきらダメじゃん❗」
「うるさいっ」
「まあ、まあ、お二人さん。アツくならないで。」
「あかりー!!かいとったらヒドイよねっ!」
「私、分度器貸すから。」
「え、いいの?サンキュー。さすが水谷、気が利く!」
「はい。どうぞ。」

コンパスと分度器を持って駆け出す、かいと。私の幼なじみ。親同士仲良くて、幼稚園からずっと一緒のクサレ縁。

一年男子の中では結構、女子に人気がある。なんで人気があるのかサッパリわからない。優しくないし、サッカーバカだし、あ、サッカーは一年でも上手いみたいで先輩の試合にも出てるみたいだけど。

「かいと、忘れ物多いんだよね。いっつも借りにくるんだもん。ほんと迷惑だわ➰。」
ブツクサいう私をあかりが励ましてくれる。
「なんか、かいと君とあきらっていいよね。」
「えー!?何がいいの!?」
「んー。なんか、さ。」
ニコリとするあかり。私もそれ以上は聞かない。
そこへチャイムがなって授業が始まる。

給食の後で、かいとがコンパスと分度器を返しにきた。
「あかりー、サンキュー。水谷にも言っといて。サッカーしにいくから。」
「うん、わかったー。毎日やってよく飽きないね。」
最後まで聞くことなく、あっという間に居なくなるかいと。

「あかりー、これサンキューってかいとが」
「かいとくん来たんだ。」
「うん、サッカーしに行くからって、すぐに外いっちゃった。よく飽きないよね。部活もサッカーなのに。」
「ホントにサッカー好きなんだね➰。」


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