俺の彼女は車椅子でした。
another story

上野亮



奈々が亡くなって2ヶ月が経った


慣れない大学でバタバタしてるとふと忘れてしまう

だけど必ず思い出してしまう


女友達とかそんな中途半端なの無理だろ
話し合わねぇし、絶対つまんない

とか思ってたけど奈々は違ったな

友達として普通に楽しかった


「いらっしゃいませ〜」


ファミレスでバイトしている

こう忙しいとあまり優人とも会えない

卒業式ではなんとか回復してる感じだったけど今はどうだろう…

いや、卒業式でも無理してたしな…

まだ…回復してなくてもおかしくねぇよなぁ



そう思っていたとき

車椅子の女の子が来店してきた
小学生くらいかな

「いらっしゃいませ」

出入口から近い方がいいかな

空いていた席の椅子を外した

「こちらでよろしいですか?」

お母さんがありがとうございます、と言って頭を下げた

「ありがとうございます!」

その子も頭を下げた

少し照れくさくて会釈した


「車椅子の客ってめんどくせぇなぁ」

バイトの先輩が呟いた

ちょっとイラってした

「そうすか?
ちゃんと愛想もいいし、別に俺は迷惑してないっすけど…」

「そうか??
俺はあんまり関わりたくねぇけど」

「勿体無いっすね」

「え?」

先輩の声を遮って客の注文を取りに行った

あの女の子も青春送れるといいなぁ
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