しあわせのかたち
そして、九月も終わりに近付き――…


また、残業の日々が続いていた。


相変わらず、残業で遅い日以外は、仕事終わりに碓井主任とご飯を食べに行っていた。

“流されているだけかもしれない”

そう思ったりもするけど、一緒に居る時間が増えるにつれ、前は“好きかも”だったけど、“やっぱり、私は碓井主任の事が好きなんだ”って気持ちが強くなる。

それに、碓井主任と一緒に居て、“今まで付き合った人みたいなタイプだったらとうしよう”と思っていた不安もなくなった。

というより、前にご飯に行った時に聞いたんだ。


「今まで、浮気とかした事あります?」


って。

こんな質問はどうかと思うけど。

いきなりそんな質問をしたもんだから、碓井主任は驚いていた。

何でこんな事を聞いたのかを聞かれ、私は今までの元彼達の事を話す。

すると、


「正直、昔は俺も褒められた付き合いはしていない。俺も相手を本気で好きになる事はないし、相手も俺の事を本気で好きにならない、割り切って付き合える相手としか付き合わなかった。だから、相手の気持ちが本気に変わったとわかったら、すぐ別れていたし、別れてもすぐに他に女が出来たりした。

だから、前に須賀が言っていた俺の噂もあまりいいものではないと思う。それがどんな噂かは知らないけど、でも、割り切った付き合いでも特定の相手が居る時は、他に女はいなかったよ」


と、今までの事を正直に話してくれた。

その話を聞いて、弥生から聞いた噂は、全く嘘ではないのかもって思ったけど。

だけど、この時、別の不安要素が出来た。

“本気で碓井主任を好きになったら、別れる事になるのかな?”って……


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