しあわせのかたち
「何で、毎回、碧とご飯を食べていたら現れるのよ」

「それは、お前らが俺らもよく行く店に居るからだろ。まぁ、いいじゃん。気にするなよ」


弥生に嫌そうな態度を取られているのに、佐々木は嬉しそうに、そして、いつもの様に勝手に弥生の隣に座る。


最近、思うんだ。

佐々木は、弥生の事が好きなんじゃないかって。

でも……

弥生には彼氏がいるのに。

それに、弥生はその事を隠していないし、佐々木も弥生に彼氏がいる事を知っているはず。

それでも、いいのかな?


「何?俺がカッコいいから、見とれちゃった?」


佐々木が茶目っ気たっぷりに言う。

私は、無意識に佐々木をじっと見ていたらしい。


「はぁ?そんなわけないでしょ」


“何言ってんの”と、呆れ口調で即否定すると、


「そんな即否定しなくてもいいじゃん」


そう言って、ぶーっと佐々木は拗ねる。


「可愛くない」

「ひどっ!」


拗ねる佐々木にバッサリと言うと、佐々木は大げさにショックを受けたように見せる。

そんな私と佐々木のやり取りを見ていた弥生と阿部は笑っていたけど。

私達が集まるといつもこんな感じだ。

佐々木が誰かしらに弄られる。

いつも何かしら佐々木が場の雰囲気を明るくしてくれる。

例えば、落ち込んでいる時とかも、佐々木のおかげで笑えたりする。

佐々木がそれをわかってやっているのかは、わからないけど。


私達は、仕事の話もするけど、いつもの様にくだらない話をして盛り上がっていた。

結局、いつもの同期の飲み会と同じ。

だから、また、弥生とゆっくり話が出来なかった。


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