しあわせのかたち
「歓送迎会あったでしょ?弥生が席を外した時、碓井主任と二人で話したんだけど。あの時は、碓井主任の事をただ話しやすい上司としか思っていなかったの。
でも、私、あまりよく知らない人とは、必要最小限しか話さないでしょ?だけど、碓井主任はすごく話しやすかった。それに、話していて、楽しかった。

でね?この前……。残業で疲れているだろうから、って差し入れくれたでしょ?碓井主任だって疲れているのに、あんな風に、周りにも気配り出来て……。そんなさりげない優しさに惹かれたのかも」


私はその時の事を思い出しながら、話した。

まだ、これが恋なのか憧れなのかはわからないけど。

本当に些細出来事だけど、あの日以来、なんか碓井主任の事が気になりだしたんだ。


「碧、碓井主任の事が好きなんだね」


ふふっと弥生は笑顔になる。


「いや、まだ好きとかそんなんじゃ……」


ただ、碓井主任の事が気になるだけ。

だけど、碓井主任の事を考えながら、こんな風に話している今、私はドキドキしている。

って事は、私、碓井主任の事、好きなのかな?


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