しあわせのかたち
駅に着き、家までの道を無言のまま歩く。


「なぁ、後輩とは何でもないからな」


ずっと黙っていた阿部がふと口を開く。


「えっ?」


急に話し掛けられ、驚いた私は阿部を見上げる。


「七海は見たってヤツな……。言い方悪いけど、その時、しつこく付き纏われていたんだ」


阿部は気まずそうに話し出す。


「俺……、フラれたのに、しつこいよな。でも、七海には誤解されたくなかったんだ」

「うん……」


どう答えたらいいかわからず、私は俯く。

だけど、私の胸のつかえが取れた気がした。


「あっ、まさか、それで俺の事を断ったんじゃないだろうな?」


俯く私に気を使ってか、阿部は私の顔を覗き込みながら、冗談っぽくそう言って、にこっと笑う。


「なっ……、そんなわけないじゃん!」


私がパッと顔を上げ、そう言うと


「お前、ひど……」


阿部はシュンと悲しげな表情になる。


「あっ、いや……。そんなつもりじゃ……」


阿部は仲の良い同期で友達。

だから、告白を断ったのは仕方ないとして。

でも、今のやり取りで阿部を傷付けたかもしれないと思い、私は何か言わなきゃと慌てる。


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