青春とまでは言わないが、充実した時
始まる













春休み明け、俺はこれからここ











「浪花高等学校」











に転校する。











今日はその下見にやってきた。











俺には大きすぎるその校舎は俺の存在を小さくするにはたやすかった。











「帰ろ。」











誰に言うでも無く帰り道を歩いていると横には運動場があり、野球部が占領していた。











野球部の練習風景を見ていて、前に人がいるのに気付かず、衝突した。











「あ、すんません。」











こちらの背丈が大きすぎて微動だにしなかったが、当たった方は女性だった。











よろめいた彼女の腕を掴んだが、彼女の細すぎる腕に触ってよかったものかわからなくなって緊張してきた。











「大丈夫っすか?」











「あ、はい。ありがとうございます。」











ちゃんと立ったのを確認すると手を離し、











「それじゃ、すんませんした!」











と顔も見ずに歩いて行った。











彼女の顔はあまり覚えていないが、今どきの人に比べて、柔らかい雰囲気の人ということだけは覚えている。












その子と再開するのはあともう少し。













< 1 / 2 >

この作品をシェア

pagetop