それでもあなたと結婚したいです。

千春さんは一瞬口角を上げると、また私の唇を奪った。

その唇は少しづつ私の唇を離れ耳から鎖骨、肩の方まで延びて来る。


「あっ………あぁ…………んん!待って、………千春さん…あっ………ダ…メだってば!」


面白がっているのか一向に止める気配がない。


(ちょっと待って、一体どこまでする気?)


「気持ちいいの?花枝さん?もっと気持ちよくしてあげるね………。」


気づくと既に胸まで来ている。


「やぁー………、ちは………るさぁ…ん。もう、いいからぁ………。こんな所で………はぁ、はぁ………やだぁ!」


長らく望んでいたことなのに、いざとなると勇気が出ない。

「フフッ………ごめんなさい。悪ふざけが過ぎました。」


(悪ふざけかよ!!)


心の中で、漫才師並みに突っ込みを入れたけど、病み上がりの人を前にグッと堪えた。


「本当にもう………。そうだ、千春さん。お腹空いてませんか?朝から何も食べて無いんでしょ?ここ、キッチンも有るし、私、何か作りますね!」


「えっ?!いいんですか?」


「あったり前でしょ!妻なんだから、今日はしっかり私が看病しますから甘えて下さい!!」


「また、一つ夢が叶いました。」


「ん?何かいいましたか?」


「いいえ………。」



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