それでもあなたと結婚したいです。

疲れ果ててうとうとしていたのか、気づくと千春さんに揺り起こされていた。


「花枝?…起きて?家に着いたよ。」


「う…ううん。着いたの?」


「ほら。」


くらくらする視界を振りきるように目をぱちぱちさせたりするけど落ちてくる瞼に負けそうになる。

千春さんに支えられる様に玄関に入った。


「花枝…ほら、しっかり歩いて?フフフッ…瞼が下がってきてるよ?」


暗闇の夢うつつの中歩いていると、まるで不思議の国のアリスになったようだ。

声だけのチシャ猫に導かれる様にフラフラと私はさ迷っている。


「千春さん…私、眠くて………。少しも目を開けていられない…。」


パタンとドアが閉まったと思ったら瞼を透かすように光りを感じた。


「ん………何?」


そっと瞳を開けるとそこは部屋中がクリスマスの飾りつけでいっぱいに輝いていた。


「はぁ………。」


私は息をするのも忘れそうだった。

天井まで届きそうな大きなクリスマスツリー、部屋中を飾るサンタやトナカイのオーナメント、窓辺でキラキラ光るイルミネーション。

全て私が夢見てたクリスマスの光景だった。


「何これ………全部千春さんが?」


「毎日少しづつ………サプライズをしようと思って………。最後にこれ………今日届いたんだ。」


千春さんが私に渡したのは金細工でキラキラ光るツリーの天辺の星だった。


「よっと………!」


「きゃっ!千春さん!何するの?」


「花枝が最後の星飾って。」


「…う…うん。」


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