それでもあなたと結婚したいです。

「人を騙しといて何なんですか。一体どうゆうつもりで私を引き合わせたんですか?もう、結婚しちゃったんですよ!!これから私、どうしろって言うんですか…………………。」


「泉さん………。」


「そんな名前で呼ばないでください!!……………もう、何もかも終わりなんです!終わらせてください………!!」


話せば話すほど目頭が熱くなり、声だって震えてくる。

黒木さんは黙って隣に座ると私の手の中にマグカップを握らせた。

私は、気を紛らわせる手段としてココアを一口飲んだ。


(甘い………。)


こんな時でもココアを美味しく感じてしまう自分が恨めしい。


「……………花枝さん。こんな形になってしまってすいませんでした。私にとって二人は同じで、大事なお客様だったんです。二人とも幸せになって欲しかった。」


「二人…とも………同じ?」


黒木さんは何かを思い出したのか、少し悲しそうに微笑んだ。


「あなたには分かりますか?好きな人と一つになれない苦しみが…。」



< 82 / 436 >

この作品をシェア

pagetop