Am I What Colors?ー元姫の復讐ー
ドクンッと、これまで無いほど心臓が大きく鳴った。
「お前が喧嘩している姿を見て、思ったんだ。お前を守りたいと。誰にも、傷つけさせたくないと……」
そう言う南蓮央の顔は、葛藤で苦しんでいる。
「でも、絵里を……絵里を、忘れてはいけないんだ…………!」
あの、俺様で強気な、南蓮央が。
本当に苦しそうで、辛そうで。
見ていられなくなって、思わずそっと抱きしめた。
「忘れないで、その人のこと…………」
「…咲誇……?」
「でも、南蓮央が苦しむのは見たくない……。何でだろう……私、南蓮央の笑った顔が見たいって思う」
震える肩を押さえるように、少し力を入れた。
そして、思い切って、言った。
「これって……多分、南蓮央が好きなんだ」
怖いけれど。
信じて裏切られるのは、怖いけれど。
この人なら信じてみてもいいなって、思えたから。