ときの聲(こえ)
1つ思い当たる事があるんだけど、
これは友人の影響かもしれない。

クラスメートで、
なぜか小学校からの腐れ縁の、
小高 楓(こたか かえで)……。

彼女は、歴女なの!!

楓の趣味で、
夏休みの宿題に、
付き合わされたんだった……。

好きな時代とかをテーマに、
壁新聞を書くという……。

私には、
好きな歴史上人物や、
好きな時代とか無いから、
どうしよう〜と、
思いながら、
楓と一緒につい先日、
博物館に、
出かけたんだった……。

楓はやっぱり、
戦国時代をテーマにしていた。

私は、博物館をうろついているうちに、
1枚の絵に惹かれた……。

それは勧進比丘尼の絵解きしたという、
地獄絵だった。

戦国時代の展示は、
重苦しく感じられて、

信仰をテーマに展示していた場所に、
私は逃げ込むと、

苦しさが和らぎ、
ひときわ輝いて目に飛び込んできたのは、
地獄絵だった!!

『熊野観心十界曼荼羅』という、

画面上部に描かれている山の裾野から始まる道に赤ちゃんが、
はいはいしているんだけど、
山道を登るにつれて、
どんどん成長してくる。
男の子と女の子が、
交互にえがかれていて、
山頂にちかづくにつれ、
大人になり、

山頂を過ぎると、
年寄りになってゆく……。

山の裾野から下には、
あの世の世界の地獄が、
描いてあった!!

ずっと見ていても、

全然飽きないので、

私の宿題のテーマにしたわ。

解説シートがあると言って、
楓が持ってきてくれたの♪


その日から、
戦(いく)さの夢なんかを
見たりするように、
なっちゃったのだった……。
< 3 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop