平成文化大論争
プロローグ1
高校生といえば、何を思い浮かべるだろう。
そぅ、青春!
部活に入ったり、彼女を作ったり…。
俺だって憧れていた。
「やあやあ、大宮。また同じクラスだな。」
「あぁ。」
「このクラスは恵まれているな。」
「生徒会長と副会長がいるしな。」
悲しいことに俺は女気がなく、周りはむさ苦しい男子共。
しかも、部活をしていない。
俺の青春は、始まる前に終わっていた。


━放課後━

勉強をする為に図書室前に行く。
「失礼します。」
静かな図書室に俺の声が響いた。
当たり前だ。
別にテストが近いわけではない。
いうなれば時間潰しだ。
課題図書の本棚を通り過ぎ、奥の部屋に足を運んだ。
誰もいないと思っていたのだが、そこには…。
「大宮?」
「ぇ、生徒会長!?」
「どうしたんだ?」
「いや、勉強をって、会長こそ!」
「あぁ、ちょっと暇でな。」
「ふーん。」
気のない返事をし、俺は席に着いた。
生徒会長は完璧超人といっても良い程何でも出来る。
おまけに美少女ときたところだから、男女共に人気だ。
まぁ、俺には別次元の人だ。
「ところで大宮。お前、部活に入ってないのか?」
「あぁ、別に入りたい部活が無いからな。」
「そうか。大宮はどういう部活に入りたいんだ?」
「そうだなぁ。アニメ語り部とか?」
「馬鹿か。そんな部活があるわけないだろ。」
「そうなんだよ、だからなぁ…。」
「お前は、アニメとか好きなのか?」
「そうだな。とっても。」
「私もだ。」
「え?」
「何だ?」
「ま、まさか会長がアニメを好きだとは!」
「別に嫌いとは言ってないだろ。」
「そうなんだけど。」
「そうだ!」
「どうした?」
ニッと笑った会長は、悪戯を思い付いた子供の様だった。
「私は急用を思い出した。よければ、LINEを交換しないか?」
「お、おう。」
震える声音で応えた。
QRコードで読み取りが成功し、【Green】がきた。
「きたぞ。」
「私もだ。」
携帯をポッケトに入れた会長は、
「では、また明日。」
と言って、去ってしまった。
ピロローン♪
なんとも間抜けな音がしたと思い、携帯を見ると
【通行人A】からLINEがきていた。
通行人A「お兄ちゃん!」
しゅーじ「何だ妹よ。」
通行人A「何か分からない?」
数秒考えた後、
しゅーじ「その馬鹿みたいな名前だろ?なんだ【通行人A】ってww」
通行人A「し、失礼な!友香知っているんだからね。お兄ちゃん一時期【魔剣士ウッド】って名前だったじゃん。」
驚いた。
まさか、友香がそのことを知っていたとは。
これは、早々に話題を変えたが良いだろう。
しゅーじ「そ、それは昔の話だろ!!!それより何だ?」
通行人A「あーそうだった。あのね、今日からお父さん出張でいないから早く帰って来て!」
しゅーじ「今から帰る。」
通行人A「うん!待っているね、お兄ちゃん?」
母親が他界して父親に育てられた俺達だが、父親は開発者という少々厄介な職業柄で家にいないことの方が多い。
だから、妹はなかなか兄離れをしてくれないのだ。
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