Crystal Sky 〜お姫様は、魔法使いに恋をする。〜




青いビー玉の中に

赤い金魚が泳いでるみたいな
暖かい風の、島の夕暮れ


ご飯が終わって
お父さんは寄り合い
お母さんは茶碗を洗ってて
わたしは一人、庭に出て


そのまま少し、散歩する事にした




ぺたぺた
サンダルの音


もうこの季節になると
日が海の向こうに沈むのは
だいぶ、遅くになってから




カシカシ
ゆるい坂道


拾った枝で、あちこち叩きながら
次には空中で、リズムをとる




灯台、防波堤


港周りに集まった
民家の屋根がいっぱいと


少し離れたとこに頭出してる
観光ホテルの、でっかい建物


ガードレールに手を置いて
そんな景色を眺める




なびく髪も
スソがたなびく
スカートもはいてないけど ―――


いろんな音が、ひとつになって
耳の横を、風が歌ってく




「――… ?」




今、誰かが”スイ”って言った






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