イジワル上司の甘い求愛
「申し訳ない。待った?」

約束の時間から15分程遅れて、息を切らしながらコーヒーショップに浦島さんが飛び込んでやってくる。


「いえ、別に」

いつも飄々としている浦島さんが、やけに小さく見えて私は待ってたなんて嫌味の1つも言うことが出来ずに首を横に何度か振って見せる。


「お詫びに今日は、ご馳走するよ」

行こうか、そう言いながら私をスマートにエスコートして連れてきてくれたのは、この間と同じ地元が一緒のオーナーが経営するお店。

オシャレしてきたのになぁ。
何を期待していたんだろう、私。

着飾る必要のなかったお店だっただけに、少しだけ拍子抜けした気がしている私を横目に浦島さんがそそくさとカウンター席に座ったから、おもむろに隣に腰を下ろした。

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