イジワル上司の甘い求愛

「チャキが見た彼とは結婚するらしい。ようやく落ち着ける相手が見つかったって社長も喜んでたよ」

浦島さんは私が思い浮かべてた姿が見えたみたいにぽつりとそんなことを口にする。

ちょ、ちょっと待って……。

やっぱり頭がついてこない。

「う、浦島さん。どうしてそんな昔に玲美さんとは終わっていたのに、ずっと指輪していたんですか?!」

「あぁ……」

何かを思い出したかのように左薬指を摩った浦島さんに視線を向ける。


「えっ?!浦島さん、指輪……」

素っ頓狂な声をあげた私に、困った様な表情を見せたのは浦島さん。

だって、この間まであった浦島さんの左薬指から嫌味なほどにきらめいていた指輪が消えていたのだから。