イジワル上司の甘い求愛
「好きです」
ようやく伝えられた言葉は、やけに簡単な言葉だった。
「うん」
浦島さんの返事は柔らかい。
「好きです」
ずっと、ずっと好きだった。
言葉にしてしまったら、たったの4文字。だけどその言葉以外は伝えようがなくって、私はもう一度繰り返す。
「俺もだよ」
背中から回している私の手を浦島さんのわずかに冷たい手が触れる。
冷たいはずなのに、触れた部分はやけに熱を帯びているように感じる。
「好きです」
3回目の『好き』を口にした時のこと。浦島さんが私を自分の身体から引きはがして思い切り振り向いた。
浦島さんの瞳は今まで見たこともない程、上気していてそれでいてわずかに揺らいでいる。
そんな瞳に私は吸い込まれそうになりながら、動けなくなってしまう。