イジワル上司の甘い求愛
「ようやく、チャキの気持ちを聞くことが出来た」
どこかホッとしたような、嬉しそうに弾んだ声を出した浦島さんにつられるように私は微笑んだ。
「顔、真っ赤だ」
「浦島さんこそ……」
何だこれ、照れ臭すぎる。
浦島さんが薄暗い街灯の灯りだけでも、耳まで朱に染めていることがはっきりと分かるから、こっちまで恥ずかしくなってしまう。
「ごっ、ご飯!!ご飯食べに行きましょう!!」
きっと声が上擦っていることだってバレバレだ。
だけど2人で向き合っていると恥ずかしくってこの上なくて、わざとらしく明るく言い放つ。
「そうだな」
浦島さんはクスリと笑うと、そう言って歩き始める。
だけど、さっきとは違う。
だって、浦島さんは私の手を握って歩き始めたのだから。