イジワル上司の甘い求愛

ランチから戻ると、企画部の手前にある給湯室でコーヒーを注いでいる浦島さんの姿が見えた。

小さな給湯室に長身の浦島さんは、いつ見ても似つかわしい。

気付いているかどうか分からなかったけれど、小さく会釈して通り過ぎようとした私に『有瀬さん』と艶のある低い声で声をかけて呼び止める。


「なんか、ごめんな。有瀬さんが大きな仕事いくつか抱えていることだって知ってたんだけど、カイセイハウスとのプロジェクトまで任せてしまうことになって……。失敗するわけにはいかないプロジェクトだからこそ、俺の中では有瀬さん一択だったんだ」

眉間に皺を寄せて、申し訳なさそうに頭を下げる。
なんだか浦島さんが小さく見えてしまう。


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