この思い秘密です
「え?!」

思わず顔をあげると淳平は笑っていた。

「坂下滋をやる気にさせただけのいい声しててさ・・・正直驚いたよ」

「そんな・・・」

「もし、俺が断っていたとしてもあの人は本気で凪をデビューさせたと思う。
凪にはそれだけの才能があるんだ。だから今回の話を受けたんだ」

「そ・・そんな私に才能だなんて・・・」

今まで一度だって自分の歌や声をいいだなんて思ったことなんかないのに・・・

「俺や坂下滋が認めてんだ。いい加減、俺みたいに腹くくれよ」

あ~~今日は何度腹をくくれと言われただろう。

きっと不安が顔に思いっきり出てんだろうな~~情けない。

だがそんな私に淳平は

「でも俺のマネージャーはお前だけだから・・・ユニット組んでも俺の世話はしろよな」

淳平は椅子から立ち上がると

首を左右に曲げながら大きく背伸びをした。


こうして私はアーティストでありマネージャーという二つの仕事を掛け持ちすることとなった。
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