虹色のラブレター
すると、千鶴は立ち上がって、布団を奥の和室の方に引っ張りだした。
「じゃ、私はこっちの部屋で寝るね」
なんだか寂しい気がしたが、当然のことだ。
僕は千鶴のことが好きだけど、付き合ってるわけではない。
同じ部屋で寝ることも不自然なことなのだ。
でも、気持ちを伝えることは出来ない。
千鶴には彼氏がいるし……何より彼女を僕のせいで苦しめたくない。
僕は、千鶴がこっちに出てきて、僕のことを頼りにしてくれて、今、一緒に居ること。
それだけで十分幸せだった。
片思いでも、友達でも、ただの知り合いでも……なんだっていい。
僕は、千鶴の傍に居ることが出来たらそれだけでいい。
そんな風に思った時、美貴のことが頭に浮かんだ。
”きっと美貴さんも今の俺と同じ気持ちなのかも知れない”
どうして僕たちは、もっと単純に恋愛できないのだろう?
僕は君が好きで、君は僕が好き。
どうして、そうでなければ恋は実らないのだろう?