は?何それおいしいの?
じっとしていろだの動くなだの、かと思えば少し上を向いてだの俯いてだの、なしのんに言われるがままされるがままになった自分を褒めてあげたい。ううん、褒め称えてあげたい。
女の子の準備ってすごく大変なのだということをあたしは今日1日で身を以て知った。
今までそういう子たちを見て「うわーよくやるわー」とか思ってたけどほんとよくやるわ。もう呆れとかを通り越して尊敬に値するわ。
「はい、これで終わり!!」
「や、やっと終わった……」
なしのんの言葉がこれ程ありがたかったのってこれが最初で最後だと思う。
もう、本当に疲れた。そりゃなしのんに比べればあたしはただ座ってなしのんの指示に従ってただけだけど。
慣れないことをしたせいもあってか精神的に疲れた。人間新しいことに挑戦するにはまずそれに耐えうるだけの精神力を養うことが必須だと思う。
「あーっ、ほらだれてる暇ないよ!」
「えー……」
疲れたし。ちょっとぐらい休ませてほしいし。
そんなあたしの希望は無惨にも時間という制限によって打ち砕かれた。無念。
急かされてなしのんがメイク道具を片付けている間にあたしも出る準備をする。
「じゃあみーな行くよっ」
「はーい」
と部屋の扉をガチャリと開けた瞬間にあたしの動きは完全に止まった。