は?何それおいしいの?
ここで「もしかして買い物に付き合ってとか…?」と鈍いフリをするつもりはないけど、何故そうなったのか疑問が残るところだ。
「俺、自分で言うのもなんだけど女の子には優しくするし、見てくれもそこまで悪くないし、性格も多少は難有りかもしれないけど、結構な優良物件だと思うよ?」
「性格は難有りなんですか……」
「あはは、今は猫かぶってるからそこまでじゃないかな」
見た目通りの普通の人ってわけじゃないのね。ここだけの話、さすがなしのんの兄だと思ってしまった。
「で、どうする実花ちゃん」
「どうするって……」
確かになしのん兄は自分で言っていた通り優良物件だとは思うけど、
「………」
答えられなかった。
なしのんのお兄さんだもん、悪い人なわけがない。まず悪い人だったらなしのんとだってあんなに仲がいいわけがない。
合コンでのカラオケボックスの中でもあたしが1人にならないように話を振ってくれてすごく優しい人だと思う。
でも、違うんだ。理屈じゃないけど、違うの。
あたしが本当にそれを言ってほしいのは、
「―――残念、時間切れだね」
「、え……?」
意味深な言葉とともに、あたしの耳には
「ハナ―――」
ただ1人だけがそう呼ぶ、あたしの名前が聞こえた。