「野球が俺の恋人」なんて言わせない！！

　　「俺達だって未来にそんな風に
　　傷付いて欲しいなんて望んでねぇよ。
　　だけど、お前は！勝手に一人で全部
　　背負って傷だらけになって。俺達が
　　どう思ったと思う。お前が倒れている
　　姿を見て。平気だったと思うのか？」


　　！！怒りを抑えた漣の言葉が深く
　　突き刺さった。


　　「ごめん・・・・・・。」


　　「だから。俺達にこんな風に
　　なってほしくないのなら。
　　二度と一人で抱え込んだりしないで
　　欲しい。俺達を信じて欲しい。」


　　柊が漣の言葉を継ぐ。厳しい声だった。
　　いつもとは全然違う声だった。


　　「もう二度としない。ごめんね・・・？」


　　「分かったならいいわよ。
　　ほら久しぶりにみんな揃ったんだし
　　今から騒ぐわよ！！！」


　　友華の言葉にみんなが頷く。


　　「リビングでいいよな？」


　　さっきの険悪ムードはすっかり
　　消え去り。。。


　　「ここあたしの家なのにっ！！！」


　　なんてあたしも言う。真剣な時は
　　真剣に。楽しむときは楽しむ。
　　それがあたし達のやり方。


　　散々騒いで。騒いでる途中でお母さんが
　　帰ってきてびっくりしてたけど。
　　『こんなに大勢でどうしたの？！』って。


　　ずっと仕事してたお母さんには悪いけど、
　　もう少し騒がせてね。


　　漣の傷をあたしは忘れない。
　　大切な人が傷付くことはこんなに
　　辛いんだって。それは分かってる
　　つもりだったけど。

　　
　　自分が傷付いたら人がどう思うかなんて
　　考えたこともなかったから。

　　
　　自分のことなんか今まで気にも留めて
　　なかったけど。あたしはあたしだけのモノ
　　じゃないんだなあって。分かったんだよ。