俺であるために
「げっ!熊下」

まさしく、どこの学校でも体育会系の教師には熊やらゴリラやらのあだ名が着けられるが、ここでは熊だったらしい。

「だあれが熊下だっ!」

「あっ、いや〜…」

「入学して二ヶ月足らずで毎日遅刻とは随分たるんどるなあ」

「何言ってるんすかあ、先生」

「なにぃ?」

「二日に一回はちゃんときてます!」

「ばっかもおん!!毎日毎日こんかあ!!!」

当たり前だが、ほぼ毎日遅刻をしているあきらを許すはずもなく。
晃の腕を掴もうとした時だった。

「あっ!先生!かな先生が見てる!!」


「えっ、どこだ?!」


晃が指差した場所には、またまた、どこの学校にも一人はいるマドンナ先生、ではなく、用務員のおばちゃんがいた。

「ぢゃっ、先生またねぇ」

熊下が晃の方に向き直るよりも早く、晃は走り出した。


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