俺であるために
おっとりとした間が抜けたよおな口調の、女の声がした。

「ん?」

晃が閉じかけた目を開き直し、体を起こしながら見た方向には、小柄で見た目からして天然そうな今時にしては純粋そうな女の子が立っていた。


「やあっぱり、お前かあ。」


晃の隣に座りながら女の子は言った。

「お前じゃないよ、真美(まみ)だよお」

入学したばかりの頃から遅刻ばかりで、学校もサボってばかりの晃が、唯一二人だけで話せる相手の友達だ。

「また、遅刻かよ〜」

「へへ、早く来たのに屋上でぼ〜っとしてたら遅刻しちゃった」

悪びれもせずにニコニコしながら真美が言った。
< 5 / 8 >

この作品をシェア

pagetop