強引上司の溺愛トラップ

ドキドキがどんどん大きくなってきてしまいます。

約束の日曜日。課長とは、遊園地の駅の改札の前で待ち合わせしていた。

電車を降りて改札に向かって歩いていくと、反対側の電車で既に到着していたらしい課長の姿が見えた。背が高いから遠くからでもよく目立つ。

……あんまり気にしたことはなかったけど、こうして遠くから課長を見ると、さっきから行き交う女性たちがチラチラと課長のことを頬を赤らめて見ている。あっ、ついに声まで掛けられてる!やっぱ課長って、誰が見てもカッコいいんだな……。


「お、お待たせしましたっ」

改札を抜けて課長に声を掛けると、課長も「おー」といつもの様子で振り返る。

そういえば、私服姿の課長を見るのは初めてだ。
黒パーカーにジーンズという、デートにしてはラフな格好だったけれど、それすらもモデルの様に着こなしてしまっているように思えた。

ちなみに、デートにしてはラフな格好、というのは私もそうなのだけれど。薄手の長丈のカーディガンに、膝丈のデニムスカートにスニーカー。だって、これから遊園地に行くんだ。慣れない歩きにくいヒールに合わせたコーディネートは避けた方がいいと思った。って言うほどオシャレやコーディネートに詳しくないけどさ。


でも、服装はラフだけど……。


「何か……」

「は、はい?」

「……可愛い。髪」
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