イノセントラヴ~不実な社長と契約結婚~
《21》取引

悠真side~

電話の繋がらない倭人に業を煮やして、部屋を訊ねた。


「どうしました?」

倭人はバスローブ姿で応対する。

「電話が繋がらないから…来た」

「シャワー浴びてましたからね」

濡れた長い髪を掻き上げながら、ローボードに置いたスマホを覗いた。


「すいませんでした」

「いいんだ」


菜穂と二人で居るとこらえきれないキモチが溢れる。


「頼みたいコトがある。今日は仕事に同行しなくていいから・・・菜穂と観光してくれ」

「昨日は来亜さん。今日は俺ですか?」


「すまない」


「分かりました」


倭人はバスルームに引っ込み、歯を磨き始める。


ローボードに置かれた2冊のパスポート。


俺と同じ赤いパスポートにもう一冊は緑のパスポート。
表には『Offical Passport』書かれていた。


これは公務用のパスポート。

倭人はやはり総理秘書官なんだと自覚した。

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