イノセントラヴ~不実な社長と契約結婚~
社長室に戻り、俺の留守を預かっていた来亜に話しかけた。

「俺の留守中に何かあったか?」

「岩佐さん達にはお会いしましたか?」

「会ったよ。岩佐さんの大学時代の後輩のフリーランスのコンサルタントを紹介された」

俺は胸ポケットに忍ばせた草壁さんの名刺を来亜に渡した。

「ファイルに入れておいてくれ」

デスクに置かれた書類の上にはパンフレットが置かれていた。

「これは?」

「『グランドシステム』の新しいセキュリティソフトのパンフレットです」

『グランドシステム』はビルのアッパーフロアの27階から28階にあるIT関連会社。

「そうか・・・ウチの管理システムのセキュリティは弱いからな。丁度いいじゃないか・・・アポを取って話を訊こう」


「承知しましたスケジュールを見て、アポを取らせて頂きます」


パンフレットの間には営業マンの名刺が挟まっていた。


名前は多賀浩介(タガコウスケ)
浩介か…芦沢と同じ名前同じ漢字。今は訊きたくも見たくない名前だ。


「来亜、この名刺もファイルしてくれ」

パンフレットから名刺を抜き取り、来亜に渡した。


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