気になる!
「しかも昨日だけ、不在だった安田先生の
代わりに、当番の君が鍵を掛けることを
頼まれていた。そうだね。」


校長は美鶴に確認する。美鶴はうなずく。


「普段は図書委員が手にする事はない鍵を
昨日は出来た。」


「ま…っ、待って下さい!私、そんなこ…」


「弁償しろとは言ってないんだ。正直に言
いいなさい。」


口調こそは小さい子供を諭すような穏やかな
ものだったが、美鶴の言葉に被せる様に食らいついてきた。
心臓が早鐘の様に打ち始める。
美鶴はショックの余り頭が真っ白になっていた


「大橋先生、わざわざ図書室までご足労頂
いたのにお見苦しい所をお見せしてしまい
まして。安田先生、職員室まで案内して
差し上げて。それから野球部の…」


それ以上は美鶴の頭に入ってこなかった。
“見苦しい所”
校長のさっきの言葉が美鶴を捉えて離さない。


客人は校長の美鶴への一方的なやり取りに、如何なものかと思ったが、部外者である自分が
どうこう言うべきではない。
司書に促されて図書室を後にする。
その司書も顔色が真っ青だった。

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