気になる!
「さぁ、どうなんだね。」


「…。」


「破れた頁は?何処にやったのかね?」


もう、涙目だった。
呼吸を整えていると少しずつ、自分を取り戻しつつある様だったが、まだ頭の中は何から話せばいいのか浮かんでこない。


それでも、何時までもこうしている訳にもいかない。思いきって口を開こう。
そう思った時、


「良く見たんですか?挟まってましたよ。
本の間。」


凌は破れた頁をヒラヒラさせて言った。


はっ、と顔を上げると、いつの間にか美鶴の前には凌の背中があった。まるで庇う様に。


「すみません。最初から聞いてたんですけ
ど、そろそろ篠田さんの言うことも聞いて
下さい。篠田さん口下手みたいなんで。」


さっきとは違う意味の涙が込み上げてくるのを
美鶴は必死になって堪えていた。


委員長じゃなくても誰にでも出来る事だと思う
でも、私にとっては…。


「僕、昨日の放課後ずっと図書室に居たん
ですけど、篠田さんそんな事してませんで
したよ。」
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