水曜日の片想い
「キミだって怪我してる」
「へ……?」
涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔を上げると同時に、橘くんの瞳と視線が重なった。
綺麗なキャラメル色の茶色い瞳…………。
息をするのも忘れるくらい魅入ってしまいそう。
こんなに綺麗な瞳、初めて見たかも。
うっとりと目を奪われているうちに、
「ひぇっ!」
橘くんの体温が突然わたしの手に触れた。
急に掴むからびっくりして変な声が出ちゃったじゃん。
「えっと………橘くん?」
わたしの問いかけには答えず、何やらゴソゴソとポケットに手を突っ込んでいる。
な、何してるの………。
たしかに手の甲が少し擦りむいて血が出ているけど、そんな気にするほどじゃない。
落ちてきた本がかすったんだろう。
どうしたらいいかわからなくて、視線はずっとつかまれている手に釘付けだ。
こんなにずっと触れていたら手からドキドキが伝わりそうだよ。