水曜日の片想い


「なんでキミが泣きそうなんだ。泣きたいのは俺の方なんだけど」


「ご、ごめ………」


「勝手に心配されても困る」



わたしの手を振り払った後は、すぐに本を戻す作業を再開してる。


うぅっ……すっごく怒ってるよ………。


本棚倒しちゃうし、怪我もさせちゃうし。


わたしってほんとーーー。




「全部キミのせいじゃないだろ……」



ボソッとかなり小さい声だったけど、わたしの耳にはしっかりと届いた。


そんなことないよ。



「わたしのせいです!!」



どうしても抑えきれなくて、堪えていた涙がポロポロと零れ落ちてくる。



「わたしがドジしちゃったから……橘くん怪我させて……痛そうで………」



後半から何を言いたいのか、何を言ってるのか、自分でもわからなくなってきた。

思考回路が回らないとはまさにこのこと。


さらにバカな女だと呆れられてしまいそう。



「はぁ………」



不機嫌そうな顔でため息を吐く橘くんと、


どうしたらいいのかわからなくてその場で止まらない涙を拭うわたし。


これ以上困らせたいわけじゃないのに。


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