逸れ者ははじめから
2章 傲慢
9時10分 1時限目。
全科目赤点の俺に何を復習する意味があるのだろうか?
『やる気でねぇー…』と言って机に倒れこむ。
隣から笑い声。声を辿ると正にたどり着いた。
必死に笑い堪えながら、教本に顔をうずくめていた。
やってしまった!と思い恥ずかしさが込み上げる。
今の俺痛くない?
ホームルームでは腹黒い一面を見られ
あげくには、恥ずかしい面まで!
チラチラと、正を見てしまったが
それからは、正も笑う事なく1時限目終える事が出来たが、
10分休みの間にまた正が俺の机に近付き話し掛けてきた。
『あのさ…』
『な…何?』こういう反応でいいのかな?
『今日の放課後あ…空いてる?』正が緊張しながら話す。
えっ?何で? しかもいきなり今日?
ふと思い返し今日の予定を考えたが、録り貯めたドラマ見るくらいしか浮かばない。
20秒ほど考えてから『だ…大丈夫だけど』と俺は答えた。
『なら学校終わったら正門前で』と言って正は席に戻った。
生まれて初めて誰かとの下校…想像つかいない。
ましては、女の子とだよ?誰でもいいから経験がある人に聞いてみたい!!
どうすればいいの…?わからねぇーよ…誰か助けてぇ…
『あっ』呼令が聞こえた。
俺に考える時間もなく、2時限目を迎えた。

まったく集中して教本や間違え直しに向き合えないから!
もう頭の中は、正の言動でいっぱい。
出来れば2時限目を異性間交流の授業にしてくれ!保健体育でもいい!!
いや…いや道徳だな!!道徳だ!
だが2時限目は、数学。最悪だ…
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