右肩の蝶、飛んだ。
「……それって色々違うのですが」
「何が?」
途端に他人行儀になった蝶矢が、重々しく口を開く。
「俺は、再会してからではなく再会する前から好きってことと、血なんて繋がっていないって事」
「ふーん」
「仕事で脅してまで、貴方を逃がさないと執念深く思っていること」
「……」
ネクタイを巻かれた手首は、三日もせずに痕は消えた。
あの瞬間、私は辛かったけれど、全て投げ出して飛び出してしまいたいほど蝶矢に絶望していたけれど、簡単に忘れてもう落ち着いている。
思考から逃げださなきゃ、生きていけなかったおかげで。
さっぱり、忘れようとしていた。
「逢いたかった。会う為なら仕事増やすよ。そうすれば美崎さんは愛に来てくれる」
「仕事で、ね」
「この前は――悪かった」
信号で車が止まった時、蝶矢は切り出した。
「でも、逃げるならまたいつでも脅すかも」
「ソレ謝る意味ある?」
「先に一生分謝っておこうかな」
「一生も一緒に居ないから」