右肩の蝶、飛んだ。
此処まで清々しく見下されると、逆にこの人はそんなことでしか自分を見下せれないのかと笑えてくる。
そんなこと、もう自分にはとっくにどうでもいいことなので。
「いつまでも箱入り娘なつもりでいたら婚期逃しますよ。私みたいに」
「はあ? 私、婚約者いるから、可哀想な貴方と同じだと思わないで」
それでも、まわりからクスクスと嘲笑う声が聞こえると、不機嫌そうに去って行く。キッチンに『もう結構よ』と怒鳴り散らしながら。
「すっきりしたわ」
「ねー」
遠くで聞こえる女子社員の声が、宇宙人の言葉のように耳を通り抜けていると、今度は挑発的な声が聞こえてきた。
「あーん。良かったあ。私ももう上がるから、今日も送ってよ、オーナー」
周りに自慢するような優越感漂う声に、視線を向けると、蝶矢が此方へ向かっているところだった。
「すいません。今日は無理です。タクシーを呼んで下さいね」
「えっ」
「美崎さん、そのまま福岡に返さないよ」