右肩の蝶、飛んだ。
私と蝶矢が通っていた小学校を通りすぎ、市役所の手前の道路から既に交通規制が行われていた。
小学校を真っ直ぐ道路をいくと遠くに大原神社が見える。
大原神社のすぐそばの中学は私が一年だけ通った。
市役所の前でタクシーから降りると、神社から太鼓の音や囃しや笛の音が聴こえてきていた。
「懐かしいですね。小学校の隣の大判焼き、いっつも良い匂いがしてお腹が空いて溜まりませんでしたよね」
「たださえ、給食以外碌なご飯食べていなかったからね」
昔の思い出を話そうとしても、――話したくなるような楽しい思い出なんて一ミリもないじゃない。何が楽しくてわざわざ大回りして小学校を見たのだろう。
挨拶周りと言いながら、蝶矢の手にはビール。
私も強くない癖にビールを片手に露店を巡る。
ポテト、くじ引き、金魚すくい、射的、綿あめ、林檎飴、からあげ、イカ焼き、焼きそば、と、長く露店が連なっている。
子供が何人かで固まって歩いているのを見ながら、私たちも神社の方へ向かって歩いていく。