その嘘に踊れ

『スーパー・ストーカー』て…

もはや変態を隠そうともしやがらねェよ。

だが、これまでのブっ飛びストーリーに比べりゃ、一番アリかも…


「『守る』って話は?」


「ん?
あぁ、ソレね。
監視していてわかったンだケド、君は今、悪のハイパー・ストーカー軍団に狙われてるみたいなンだ。
でも、安心して?
しーちゃんには、このスーパー・ストーカーがついてるよ!」


『スーパー』の次は、『悪のハイパー・ストーカー』て。
しかも『軍団』て。

バカなの?
死ぬの?

やっぱナシ、ナシ。

まな板に視線を戻した透子が、辛辣に呟く。


「…嘘で窒息して、死ねばいいのに」


ハイ。
素の透子さんは、とっても率直に毒を吐く人でもありマシタ。

とにもかくにも、楽しいクッキングは続く。

『しーちゃんのみじん切り、手際いいネー』
なんて。

『フフ、褒められた』
なんて。

『俺は?俺は?』
なんて。

『人参グラッセは面取りしなきゃダメ』
なんて。

『褒められるどころか、ダメ出し食らった!?』
なんて…

素顔を見せ始めた囚人と嘘に塗れた看守の奇妙な共同生活が、今、開始された。

< 30 / 291 >

この作品をシェア

pagetop