その嘘に踊れ

モノクロ


ジャンジャンバリバリジャンジャンバリバリ…

コレをパチンコ店の大音響表現として初めて使ったヤツって、いったいダレなンだろ?

そのセンスに脱帽デス。

てなワケで、本日もアオはパチンコ屋。

いつもの店とは違う、二駅隣にある大型パチンコ屋。

もう、ね。
仕事してない人と言われても、言い訳しようがないよネ。

派手なオレンジベースのアロハシャツと白いテーパードシルエットのクロップドパンツとか、まともな人のワケがないよネ。

メニューを持って寄ってくるギャルギャルしたコーヒーレディに、指でレイバンをズラして『いつもの』なんてオーダーする仕草とか、完全に板についてるもんネ─────!?

立派なパチンカスですよ、ハイ。

コーヒーを飲みながら金牙狼を打っていると、スーツのジャケットを腕にかけたメガネの若いビジネスマンが、隣の台に座る。

ハンカチで額の汗を拭きながらキョロキョロと辺りを見回す様子は、

『営業サボって来ちゃったケド、バレないかな?』
『まさか、上司がいたりしないよな?』

なんて心の声がだだ漏れな挙動だ。

チンピラファッションのまともに見えないパチンカスと、ちょっとハメを外しただけのまともに見えるビジネスマンが、二人並んで…


「調査完了。
通常通り、報告は口頭のみで」


騒音の中、ビジネスマンが低く呟いた。

ひとりごと?

なんか妙だケド…そーだよネ?

だって誰にも聞こえないし。
だって視線は金牙狼だし。

だからアオも、隣の男を気にすることなく、片手で銀の玉をジャラジャラと弄んで…

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