中毒性アリ!?副編集長に手なずけられました

普通のバーとあまり外観の変わらないお店の前で、女の子と真塩さん達は楽しそうに話している。遠くから見てもわかるほど、真塩さんは明らかに一番女の子にモテていた。
女の子は真塩さんの腕を撫でるように触り、必死に目を合わせようとアピールしいる。

触られることが嫌いだと言っていたくせに、あんなに自由に触らせているじゃないか。
もしかしてそれも、嘘だったの?

女の子にへらへら笑っている(ように見えてしまう)真塩さんに、酔いのせいもあって段々ムカッ腹が立ってきた。

「……轟さん、行きましょう。電車そろそろ終電近いんじゃないですか」
「なんかチューとかし出すんじゃねーか? 見てこうぜ」
「趣味悪いですよ、轟さん!」

轟さんの腕を思わず引っ張ったが、その瞬間道路の溝にヒールがハマってバランスを崩してしまった。

「紫水!」
「きゃっ、ごめんなさい!」

前のめりになってしまった私は、思い切り轟さんの胸に飛び込んでしまった。
身長の高い轟さんの胸の中にすっぽりと収まってしまい、私は思わずどきまぎしたが、すぐに頭を下げて彼から離れた。

「すみません、少し酔っててバランスが……」
「いや、全然いいけど、お前顔赤くないか? ちゃんと家帰れるのか」
「だ、だい、大丈夫です、見られるともっと赤くなるので、あの……」

幼少期の赤面症はもう治ったと思っていたのに。顔が一気にかーっと赤くなるのを感じて、私は思わず俯いた。すると、轟さんの長くて冷たい指が、再び頬に触れた。

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