中毒性アリ!?副編集長に手なずけられました
分かりやすい愛の伝え方

『and YOU』編集部の超絶エリート、真塩裕貴を知らない女社員はいない。

女性社員と仲良くするコツは、そんな真塩裕貴と一切私情で関わらないこと。
それを肝に銘じて異動したはずなのに、気づいたら私は彼の合鍵を持っていた。

そして気づいたら、左手薬指に指輪が輝いていた。

「本当にやってられないわ」

同期の史子が、私が頼んだフォーの中にパクチーを投げ込みながら、つまらなさそうに吐き捨てた。

「異動してきた女に部署内一のエリートイケメンを取られるなんて、本当にやってられないわ」
「うぐ……ごめんなさい……」
「謝るな、腹立つから」
「そんな……」

史子に、真塩さんと付き合っていると報告した時は二週間ランチの誘いを断られ、たった今結婚の報告をしたら、舌打ちをされた。彼女は本当に私の友人なんだろうか。

交際して二年、私はついに真塩さんと結婚することになった。

社内にも今日報告したのだが、女性社員の悲鳴は止まらず、刺すような視線は半日中感じていた(史子には婚約の時点ですぐに報告していた)。

真塩さんのファンだった史子からすれば、こんなに面白くない話は無いだろう。それは分かるのだが、彼女はこの二年の間に私より先に結婚したので、こんなに悪態をつかれるとは思わなかった。

「真塩さんはこういう丸顔の女が好きだったわけね……」
「いや、確かに丸顔だけど……」
「まあいいよ、幸せになれよ、ハイおめでとう」
「そんな投げやりな祝福ある……?」

信じられない、という顔で史子を見つめると、こっち見るな幸せボケ、と暴言を吐かれた。とんでもない女だな、こいつ……。

「……でもまあ、横谷とかいうクズとのトラウマを乗り越えてくれて、安心したよ」
「クズって……仮にも先輩なのに……クズだけど」
「風俗行き過ぎて変な病気貰ったらしいよ、ざまあないわね」
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