Love,
「辻宮??」
「え?」

目の前に見えるペットボトル。
そして、その向こうには―……

「か、河野!?」
「辻宮、一人??寂しいなー」
「う、ん」

呆然と河野を見上げて、生返事をした私は何度も瞬きをする。

何で?

何で河野が―……??

「っつーか、春休みなのにプールかよー」
「……だね」

遥乃主催の計画だ。

ペットボトルに口をつけながら、河野がつまらなさそうに

「オレ、プールのあの…塩素?ダメなんだよな」
「そうなんだ……」
「なんか今日、辻宮口数少なくね??」
「そ、う?いつもこんなもんだよ??」

河野がッ


河野が隣にいる―……ッ!!!

内心の興奮とは裏腹に、言うつもりのなかった言葉が零れ落ちる。

「ねぇ、河野って…さ」
「うん?」

あ。
私の一番好きな、河野の表情。
思わず言おうとした言葉を呑み込んだ。

河野の顔を見ただけで

こんなにも


胸が苦しい―……。


「辻宮?何か言いかけなかった?」
「え?あ、うん!えっと…ファ、ファンタ好きなの!?」

とっさに、河野の持っているペットボトルを指差す。

「…あぁ、コレ?うん。好き」

『好き』。

河野が言っただけでこんなにもたったの2文字が輝きを放つ。


どうしよう。

どんどん鼓動が早くなってく。

やっぱり、好きなんだ。


河野のこと―……。








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