婚約者はホスト!?③~夫婦の絆~
「ああ そのことか…。さっき中西が言ってたの聞いてたのか…。」
圭司は一瞬びっくりした顔をしたけれど、特にうろたえる様子もなくそう言った。
「圭司は杉本さんのこと抱きしめてたんだよね? 私には残業なんて言っておいて、泣いてる杉本さんのこと会議室で慰めてたんでしょ?」
「確かに、今日 泣いてる杉本に抱きつかれたのは本当だけど…。でも それは、杉本も仕事のことで取り乱してて、深い意味はないんだよ。そのあと、会議室にいたのは、杉本の仕事を手伝ってただけで、何もやましいことなんてしてないよ。」
圭司は落ち着いた声で言うけれど、納得なんてできるはずがない。
「仕事なら、なんで鍵なんてかけてたの? 中西さんにも黙ってろって、必死だったじゃない!」
私は圭司への不信感でいっぱいだった。
「中西にああ言ったのは、会社でへんな噂流されたら大変だと思ったからだよ。あいつ ペラペラと余計なこと喋るから…。ただでさえ 杉本は俺と仕事を組みだしてから、女子社員たちに俺と不倫してるとか噂立てられて、嫌がらせを受けてるんだ。俺が一緒に残って仕事手伝ってたりしたら、杉本が嫌な思いすると思ってこっそり会議室使っただけだよ。」
「ふーん でも 火のないところに煙は立たないんじゃない…?」
「おまえな…。」
圭司が低い声で言った。
こんな言葉を言ってしまう自分にも嫌気がさすけど、どうしても感情を止められなかった。
「お客さーん お取り込み中すみませんけど、着きましたよ!」
私達はタクシーを降りると、無言のままマンションの部屋へと向かった。