婚約者はホスト!?③~夫婦の絆~
憧れの先輩~柚葉side~

「おはようございます。もう 大丈夫なんですか…?」

一週間振りに会社へと出てきた先輩の瀬崎さんに私は声をかけた。

「ああ 杉本 おはよう。悪かったな、心配かけて…。」

そう言って、瀬崎さんはいつものように優しく笑った。

会社では一部の人間しか知らされていないけれど、瀬崎さんが会社を休んでいたのには深い訳がある。

今さらながら、瀬崎さんと奥さんのなつさんが無事でいてくれて、本当に良かったと思う。

「あっ 杉本 嫌がらせの方はどうなった? 中西 ちゃんと約束守ってたか…?」

こんな時でも、私のことまでちゃんと考えてくれる瀬崎さん…。

女の子なら、彼に憧れない人はいないだろう…。

「はい だいぶ収まりました。中西さん必死で噂をかき消してくれてますし、私が押し付けられた仕事も夜遅くまでやってくれてます。」

「そうか。良かった…。あいつは自業自得だけど杉本にはホント迷惑かけたな…。今度 お詫びにご馳走するから、空けといて…。」

「えっ…?」

「なつも杉本に謝りたいって言ってるから。」

あー びっくりした。
そうだよね…瀬崎さんがなつさん以外の人と例えどんな事情でも、二人きりで食事になんて行くはずがない。
だって 瀬崎さんはなつさんのこと…死ぬほど愛しているんだから。

「はい ぜひ。 楽しみにしてますね。」

私はニコリと笑ってデスクに戻った。
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