心ーKokoroー
彼は幼い頃からずっと
病院で日々を過ごしていた
両親はいなかった
物心つく前に事故で死んでしまった
生まれつき心臓が弱かった彼は
学校へ行けず
毎日小児科病棟で入院する子どもたちと
一緒に遊んでいた
だけど彼より幼い子は
彼よりも丈夫で
すぐに退院していき
彼は常に独りぼっちだった
毎日のように酷い発作を起こし
生きるか死ぬかの毎日を
延々と続けていた
彼が生きるには
臓器提供者…ドナーが必要だ
彼はドナーが現れるのを
今か今かと待ち望んだ
退院したら何をしよう?
サッカーがしたい
野球もやりたい
歌を歌いたい
楽器を弾きならしてみたい
思い切り駆けまわりたい
起き上がれないほど弱っていたにも関わらず
彼はベッドの上で
毎日そればかり想像していた