アイツを想う君を、僕はただ見つめている。
いつものように3人で会う事になったある日。

アイツは言った。

「バイト先で彼女ができたから、これからは今までみたいに頻繁には会えないかも。」

君は、無理して笑っていた。

「そっかー、良かったね。でもちょっと寂しいな。」




帰り道、一緒に歩いている時にも、君は作り笑いを浮かべて、一生懸命僕に話し掛けた。


……“本当はずっと好きだったんだ”って、泣けばいいのに。

僕にまで無理して笑う事なんてないのに。

それでもやっぱり、失恋した悲しみを隠すように笑う君の瞳はとてもキレイで、僕は気付かないふりをする事しか出来なかった。



不思議だけど、アイツに失恋した君が僕を選んでくれたらとは、思わない。

僕は気付いた。

アイツを想っていた君が、僕は好きだったんだと。

交わる事のない恋心が、それぞれの心の中で想い出に変わるまで…僕はきっと、君を想い続けるのだろう。

君がアイツを想っている限り、僕はきっと、君をただ見つめている。




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