夕焼けに照らされて
 私はただひたすら早足で階段を上る。
 中学生の時に陸上競技をしていたおかげで、息を乱すことなく、このペースでも4階まで上れそうだ。
 額から汗がこぼれる。やっぱ今日は暑い。

 図書館で友達と本を借りていたら、すっかり時間がたってしまった。日は暮れかけている。
 あの部屋で夕焼けをみたくて、私は急ぐ。

 私が一段一段上る度に、木の床は小さく音をたてた。右手にもった小さな文庫本が、やけに重たく感じる。
 はやく、あの場所へ行きたい・・・。




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